GOLD DATA RESEARCH / 用語集
研究で使う
統計用語の説明
研究結果を読むために必要な言葉だけを、なるべく普通の日本語でまとめました。
まずこれだけ押さえれば読めます
1. 「対照群と比べたか」を見る。
「イベント後に55%上がった」だけでは何も分かりません。比較相手があって初めて意味が出ます。
2. 「信頼区間が0をまたいでいないか」を見る。
またいでいたら「差があるとは言えない」という意味です。
3. 「統計的に有意=儲かる」ではない。
偶然では説明しにくい差、という意味にすぎません。
この3つが分かれば、研究記事の結論部分はほぼ読めます。以下は必要になったときに引いてください。
読むとき最初に迷う言葉
結果の数字を読むために必要な最低限です。
- 対照群(Matched Control)
- 比較のために用意する「何も起きていない普通のバー」の集まりです。「イベント後に55%上がった」だけでは意味がなく、同じ時間帯・同じ曜日・同じ相場環境の普通のバーでは何%だったかと比べて初めて差が分かります。
正確な比較条件は研究ごとに異なります。各記事の「どう調べたのか」をご確認ください。 - 95%信頼区間
- 測った差が、どれくらいの幅でブレうるかを表したものです。この幅が0をまたいでいたら「差があるとは言えない」と読みます。例:[-1.9pt, +2.7pt] はマイナスにもプラスにもなりうるので、差は確認できません。
- p値
- 「差がない」と仮定したとき、今回と同じか、それ以上に極端な結果が出る確率です。小さいほど、偶然では説明しにくいことを意味します。
p値は「差がない確率」そのものではありません。また差の大きさも実用的な価値も教えてくれません。本研究ではp値だけで判断せず、必ず効果量と信頼区間を併記しています。 - 統計的に有意
- 「偶然では説明しにくい差が見つかった」という意味です。「儲かる」「実用的な差がある」という意味ではありません。本研究では有意性・方向性・売買可能性を必ず分けて表示しています。
- 効果量
- 差が「どれくらい大きいか」を表す数字です。p値が「偶然っぽいか」を答えるのに対し、効果量は「意味のある大きさか」を答えます。本研究ではCliffのdeltaなどを使っています(0が差なし、±1に近いほど大きい差)。
- 中央値
- データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値です。平均値と違い、極端に大きい数値に引っぱられにくいのが利点です。値動きのように「たまに極端な値が出る」データでは、平均より実態に近くなります。
値動きに関する言葉
GOLDの値動きを測るために使っている指標です。
- ATR(平均的な値幅)
- その時点で「ふつうどれくらい動くか」を表す目安です。相場が荒い時期と静かな時期を同じ物差しで比べるために使います。「0.5ATR動いた」は「ふだんの半分くらい動いた」という意味です。
- ボラティリティ
- 値動きの大きさ・激しさのことです。「ボラが高い」は大きく動いている状態、「低い」は静かな状態を指します。方向(上がる・下がる)とは関係ありません。
- 正規化
- 単位や水準の違いをそろえて比べられるようにする処理です。ただし何で割るかによって答える質問が変わります。価格で割れば「何%動いたか」、ATRで割れば「ふだんと比べて動いたか」になります。
- 平均回帰
- 極端な状態が、時間とともに平均的な状態へ戻っていく性質です。ボラティリティにはこの性質があるため、静かな場面を集めれば、その後は何もしなくても「大きくなった」ように見えます。比較相手を正しく作らないと、これを「発見」と取り違えます。
- RSI
- 直近の値上がり幅と値下がり幅を比べて、0〜100で表す指標です。一般に70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎとされます。
- ボリンジャーバンド
- 移動平均線の上下に、値動きのばらつき(標準偏差)の幅を取った線です。正規分布を仮定した場合、平均±2標準偏差にはおおよそ95%が含まれるという目安があります。ただし市場価格が常にその割合でバンド内に収まるという意味ではありません。
- 標準偏差(σ)
- データのばらつき具合を表す数字です。σが大きいほど値動きが散らばっています。
研究の信頼性に関わる言葉
「その数字は信用できるのか」を支える仕組みです。
- 事前登録
- データを見る前に、仮説・条件・判定基準をすべて決めて記録しておくことです。結果を見てから条件を変えられると、どんなデータからでも「発見」が作れてしまいます。本研究では10テーマ分を検証前に固定し、ハッシュ値で記録しています。
- エピソード(サンプルの数え方)
- 連続して条件を満たしたバーを、1件のイベントとしてまとめたものです。1本ずつ数えるとほとんど同じ値動きを何度も数えることになり、サンプル数が実際より大きく見えてしまいます。本研究のNはこのエピソード単位です。
- 擬似反復(pseudoreplication)
- 同じ現象を何度も数えてしまい、サンプル数が水増しされる失敗のことです。サンプルが多いほど信頼区間は狭くなるため、放置するとただのノイズが「差あり」に見えてしまいます。
- 検出力(サンプルは足りているか)
- 「もし差があったなら、それを見つけられるだけのサンプルがあるか」という考え方です。本研究では150件を下限とし、これを下回る場合は「差がない」ではなく「判断できない」と扱っています。
- 多重検定の補正
- たくさんの項目を同時に調べると、偶然「差があるように見えるもの」が必ず紛れ込みます。10テーマ調べれば、本当は全部無関係でも1つくらいは当たって見えます。その分を差し引く計算がこれです(本研究ではBenjamini-Hochberg法)。
- ブートストラップ
- 手元のデータから擬似的に何度も再抽出して、結果のブレ幅を推定する方法です。本研究では日単位で抽出しています。同じ日に起きたイベントは互いに影響し合うため、1件ずつ独立に扱うとブレ幅を小さく見積もってしまうためです。
- Final Holdout(未使用データ)
- 検証にも調整にも一度も使っていない期間のデータです。本研究では直近1年分をそのまま残しています。新しい仮説を本当に確かめたいとき、「一度も見ていないデータ」でなければ意味がないためです。
よくある誤解
「サンプルが多い研究ほど正しい」——正しくありません。
必要なのは独立したサンプルの多さです。同じ値動きを何度も数えた36万件より、重複を除いた8,261件のほうが信頼できます。実際に本研究でこの修正を行いました。
必要なのは独立したサンプルの多さです。同じ値動きを何度も数えた36万件より、重複を除いた8,261件のほうが信頼できます。実際に本研究でこの修正を行いました。
「p値が小さいほど強い発見」——必ずしもそうではありません。
p値は「偶然っぽいか」しか答えません。差の大きさは効果量、実用性は別の判断です。本研究では多重検定補正後も4件が有意でしたが、売買に使える優位性は1件もありませんでした。
p値は「偶然っぽいか」しか答えません。差の大きさは効果量、実用性は別の判断です。本研究では多重検定補正後も4件が有意でしたが、売買に使える優位性は1件もありませんでした。
「差がなかった=調べ方が悪い」——とは限りません。
サンプルが十分にあるうえで差が出なければ、それは「差が見つからない」という立派な結果です。本研究では検出力の下限を150件と決め、下回る場合だけ「判断できない」と分けています。
サンプルが十分にあるうえで差が出なければ、それは「差が見つからない」という立派な結果です。本研究では検出力の下限を150件と決め、下回る場合だけ「判断できない」と分けています。
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本研究は過去データに基づく統計分析であり、将来の価格変動や利益を保証するものではありません。本研究はバックテスト・デモ運用・実運用のいずれの成績でもなく、エントリー・エグジット・取引コストのモデルを実行していません。