GOLD DATA RESEARCH / R01
「RSI30以下なら反発する」
は本当?
売られすぎと言われる水準に入ったあと、GOLDは本当に上がりやすくなるのでしょうか。
❌ NO EDGE
30秒で分かる結論
- 今回調べたこと
- RSI(14)が30を下回った直後、GOLDが上方向に解決しやすくなるかを調べました。
- 結果
- 似た条件の対照群と比べて、差は確認できませんでした。イベント時52.2%に対し、対照群51.1%。差は+0.4ポイントで、誤差の範囲内でした。
- つまり
- 「RSIが30を割ったから、その後上がりやすい」とは、今回の条件では言えませんでした。
- 注意
- RSIという指標すべてが無意味、という意味ではありません。今回検証したのは「30割れ単独」という使い方だけです。
この記事に出てくる用語(タップで開く)
- RSI
- 直近の値上がり幅と値下がり幅を比べて、0〜100で表す指標です。一般に70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎとされます。
- ATR(平均的な値幅)
- その時点で「ふつうどれくらい動くか」を表す目安です。相場が荒い時期と静かな時期を同じ物差しで比べるために使います。「0.5ATR動いた」は「ふだんの半分くらい動いた」という意味です。
- 対照群(Matched Control)
- 比較のために用意する「何も起きていない普通のバー」の集まりです。「イベント後に55%上がった」だけでは意味がなく、同じ時間帯・同じ曜日・同じ相場環境の普通のバーでは何%だったかと比べて初めて差が分かります。
正確な比較条件は研究ごとに異なります。各記事の「どう調べたのか」をご確認ください。 - 95%信頼区間
- 測った差が、どれくらいの幅でブレうるかを表したものです。この幅が0をまたいでいたら「差があるとは言えない」と読みます。例:[-1.9pt, +2.7pt] はマイナスにもプラスにもなりうるので、差は確認できません。
- p値
- 「差がない」と仮定したとき、今回と同じか、それ以上に極端な結果が出る確率です。小さいほど、偶然では説明しにくいことを意味します。
p値は「差がない確率」そのものではありません。また差の大きさも実用的な価値も教えてくれません。本研究ではp値だけで判断せず、必ず効果量と信頼区間を併記しています。 - 事前登録
- データを見る前に、仮説・条件・判定基準をすべて決めて記録しておくことです。結果を見てから条件を変えられると、どんなデータからでも「発見」が作れてしまいます。本研究では10テーマ分を検証前に固定し、ハッシュ値で記録しています。
- エピソード(サンプルの数え方)
- 連続して条件を満たしたバーを、1件のイベントとしてまとめたものです。1本ずつ数えるとほとんど同じ値動きを何度も数えることになり、サンプル数が実際より大きく見えてしまいます。本研究のNはこのエピソード単位です。
- 検出力(サンプルは足りているか)
- 「もし差があったなら、それを見つけられるだけのサンプルがあるか」という考え方です。本研究では150件を下限とし、これを下回る場合は「差がない」ではなく「判断できない」と扱っています。
- RSI30割れは「下がった事実」を表す指標であること
- 「だから次は上がる」は、指標そのものが言っていることではないこと
RSIは過去の値動きを要約した数字です。未来の方向を示す仕組みは含まれていません。それでも反発しやすくなるのかを実データで確かめました。
なぜこのテーマを調べたのか
RSIは、直近の値上がり幅と値下がり幅を比べて「買われすぎ・売られすぎ」を0〜100で表す指標です。一般に70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎとされます。
そして「30以下は売られすぎだから反発しやすい」と説明されることがあります。
では、GOLDでも本当にそうなのでしょうか。よく聞く話ではありますが、対照群と比べた検証を見かけることは多くありません。
そこで、検証を始める前に条件と判定方法をすべて固定したうえで、実データで確かめました。
どう調べたのか
ここで一番大事なのは「比較」の行です。
「RSI30割れの後、52%上がりました」という数字だけでは、何も分かりません。GOLDはそもそも上がりやすい時間帯や相場つきがあるからです。
そこで、イベントが起きたバーと同じ時間帯・同じ曜日・同じボラティリティ環境の、RSI30割れが起きていないバーを1件あたり5本ずつ集め、対照群としました。
比べるのは「上に0.5ATR動くのが先か、下に0.5ATR動くのが先か」です。ATRはその時点の平均的な値幅なので、相場が荒い時期も静かな時期も同じ物差しで比べられます。
統計的な処理(詳しく)
- 連続する売られすぎバーは1つのイベントに集約(cooldown 12本)。全バーを数えるとNが水増しされ、信頼区間が実際より狭くなります。
- 信頼区間は日単位のブロックブートストラップで算出。同じ日に起きたイベントは互いに独立でないためです。
- 10研究をまとめてBenjamini-Hochberg法で多重検定補正。
- 閾値20/25/30/35、cooldown 6/12/24本でも再計算し、符号が変わらないことを確認しています。
結果
縦線は50%(差がないときの目安)です。2本の長さの差が、この研究で問うている「効果」です。
- どちらも50%付近で、差はごくわずかであること
- 対照群も51.1%あり、RSIを見なくても同じくらい起きていること
棒の長さがほとんど同じであることが結論です。差が小さいのではなく、統計的に差があるとは言えないという水準でした。
差の95%信頼区間は [-1.9pt, +2.7pt] で、0をまたいでいます。多重検定補正後のp値は0.94でした。
対照群の解決率が51.1%と、ほぼ50%になっている点も確認しています。上下対称の基準で測っているので、理論値は50%です。対照群がここから大きくズレていれば、比較の作り方自体を疑う必要がありました。
- 差は約1ポイントで、信頼区間が0をまたいでいること
- つまりプラスにもマイナスにもなりうる範囲であること
100回のうち1回ぶん、という程度の差です。しかもその差が本当にあるとは言い切れない幅に収まっています。
この結果を、ふつうの言葉にすると
今回の条件では、「RSIが30以下になったから、その後上がりやすい」とは言えませんでした。
上がることもあれば下がることもあり、その比率は「RSIを見ていない場合」とほとんど同じだった、ということです。
この研究から分かること
- GOLDの5分足で「RSI30割れ」だけを根拠に反発を期待する使い方は、今回のデータでは裏付けられませんでした。
- サンプルは3,619件あり、検出力の下限(150件)を大きく超えています。つまり「サンプルが足りなくて分からない」ではなく、「十分に見たうえで差が見つからない」という結果です。
- 閾値を20〜35の範囲で動かしても結論は変わりませんでした。特定の数字を選び損ねたわけではありません。
この研究だけでは分からないこと
- RSIのすべての使い方が無意味、という意味ではありません。今回検証したのは「30割れ単独」だけです。
- 他の条件との組み合わせ(トレンド方向、時間帯、サポート帯など)は、事前登録した範囲外なので検証していません。
- 5分足以外を主要検証にはしていません。
- 取引コストは含んでいません。仮に小さな差があったとしても、コスト後に残るかは別の問題です。
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検証条件
🔒 Final Holdout(直近1年)は本研究では未使用です
この研究が気になった方へ
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