GOLD DATA RESEARCH / R06

ボリンジャーバンド±2σタッチは
逆張りポイント?

バンドに触れたら中心に戻る、という定番の使い方を実データで確かめました。

❌ NO EDGE

30秒で分かる結論

今回調べたこと
ボリンジャーバンドの±2σに価格が触れたあと、中心(ミドルバンド)へ戻りやすいのかを調べました。
結果
対照群と比べて差は確認できませんでした。イベント時50.1%、対照群49.9%で、差は+0.2ポイントです。
つまり
「±2σに触れたから逆張り」という使い方は、今回の条件では裏付けられませんでした。
注意
ボリンジャーバンド全般が無意味という意味ではありません。検証したのは「±2σタッチ単独での逆張り」です。
この記事に出てくる用語(タップで開く)
ボリンジャーバンド
移動平均線の上下に、値動きのばらつき(標準偏差)の幅を取った線です。正規分布を仮定した場合、平均±2標準偏差にはおおよそ95%が含まれるという目安があります。ただし市場価格が常にその割合でバンド内に収まるという意味ではありません。
標準偏差(σ)
データのばらつき具合を表す数字です。σが大きいほど値動きが散らばっています。
ATR(平均的な値幅)
その時点で「ふつうどれくらい動くか」を表す目安です。相場が荒い時期と静かな時期を同じ物差しで比べるために使います。「0.5ATR動いた」は「ふだんの半分くらい動いた」という意味です。
対照群(Matched Control)
比較のために用意する「何も起きていない普通のバー」の集まりです。「イベント後に55%上がった」だけでは意味がなく、同じ時間帯・同じ曜日・同じ相場環境の普通のバーでは何%だったかと比べて初めて差が分かります。
正確な比較条件は研究ごとに異なります。各記事の「どう調べたのか」をご確認ください。
95%信頼区間
測った差が、どれくらいの幅でブレうるかを表したものです。この幅が0をまたいでいたら「差があるとは言えない」と読みます。例:[-1.9pt, +2.7pt] はマイナスにもプラスにもなりうるので、差は確認できません。
多重検定の補正
たくさんの項目を同時に調べると、偶然「差があるように見えるもの」が必ず紛れ込みます。10テーマ調べれば、本当は全部無関係でも1つくらいは当たって見えます。その分を差し引く計算がこれです(本研究ではBenjamini-Hochberg法)。
用語集をすべて見る →
ボリンジャーバンドの形と、±2σタッチとは
+2σ(上のバンド)
ミドルバンド(移動平均)
-2σ(下のバンド)
ここに触れたら「上バンドタッチ」
ここに触れたら「下バンドタッチ」
この図で分かること
  • バンドは移動平均から一定の幅で上下に引かれること
  • バンド幅は値動きのばらつきに応じて広がったり狭まったりすること
見方のポイント
今回数えたのはバンドに触れた後、ミドルへ戻るのが先か、さらに外へ伸びるのが先かです。

なぜこのテーマを調べたのか

ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に「価格のばらつき(標準偏差)」の幅を取った線です。

正規分布を仮定した場合、平均±2標準偏差にはおおよそ95%が含まれるという目安があります。ただし市場価格が常にその割合でバンド内に収まるという意味ではありません。実際の相場は正規分布からずれるためです。

ここから「±2σに触れたら行きすぎ。中心に戻りやすい」という逆張りの使い方が広く知られています。

一方で「バンドに沿って伸び続ける(バンドウォーク)」という説明も同じくらい知られています。実際はどちらが多いのでしょうか。

どう調べたのか

対象GOLD(XAUUSD)
時間足5分足
条件20期間・2σのバンドに触れた時点
比較似た時間帯・曜日・ボラティリティの対照群
確認ミドルバンドへ戻るのが先か、さらに外へ1ATR伸びるのが先か

バンドの設定は20期間・2σという一般的な値のまま固定しました。期間や倍率をいくつも試して一番良い組み合わせを探すと、偶然うまくいく設定が必ず見つかってしまうためです。

なぜ設定を探し回らないのか(詳しく)

仮に本当は何の効果もなくても、期間を10〜50、倍率を1.5〜3.0で総当たりすれば、数百通りの組み合わせが生まれます。その中には偶然「よく当たる」設定が必ず含まれます。

それを取り出して発表すれば、実データに基づく発見のように見えますが、実際には偶然を拾っただけです。

そこで今回は、検証前に設定を1つに固定しました。代わりに±1σ・±3σでも確認し、効果が本物なら現れるはずの規則性(σが大きいほど戻りやすい等)が出るかを見ています。

結果

50.1%タッチ後の中心回帰率
49.9%対照群
+0.2pt差(悲観的評価)
19,934件サンプル数
タッチした場合と、しなかった場合
±2σにタッチした後50.1%
似た条件の普通のバー49.9%

縦線は50%(差がないときの目安)です。ほぼ完全に重なっています。

この図で分かること
  • 中心へ戻る確率は50.1%で、対照群49.9%とほぼ同一であること
  • 「行きすぎたから戻る」という動きが、数の上では現れていないこと
見方のポイント
サンプルが約2万件あるため、この2本の差はかなり精密に測れています。差が見えないのは測定の粗さではありません。
±1σ・±3σでも同じでした
±1σタッチ
±2σタッチ
±3σタッチ
最初のタッチのみ
繰り返しタッチ含む
バンド幅で分類
この図で分かること
  • どのσでも対照群との差が出なかったこと
見方のポイント
もし「行きすぎるほど戻りやすい」性質が本当にあるなら、σが大きいタッチほど戻りやすくなるはずです。その傾向は見られませんでした。

95%信頼区間は [-0.9pt, +1.2pt]。サンプルが約2万件あるため区間はかなり狭く、それでも0をまたいでいます。「大きな効果があるのに見逃した」という可能性は低いと言えます。

±1σ・±3σでも同様に差は出ませんでした。もし本当に「行きすぎたら戻る」性質があるなら、σが大きいタッチほど戻りやすいといった規則性が出るはずですが、それも見られませんでした。

この結果を、ふつうの言葉にすると

±2σに触れた後の値動きは、「バンドを見ていない場合」とほとんど変わりませんでした。

中心に戻ることもあれば、そのまま伸びることもあり、その比率がほぼ半々だった、ということです。

この研究から分かること

  • 約2万件という十分な件数で、「±2σタッチ=逆張り」という単独の使い方は裏付けられませんでした。
  • σの大きさを変えても規則性が現れなかったことは、「たまたま2σだけ外れた」のではないことを示しています。
  • ボリンジャーバンドは値動きの幅を測る道具としては機能します。ただし今回の結果は、幅を測ることと方向を当てることは別だと示しています。

この研究だけでは分からないこと

  • バンド幅(スクイーズ/エクスパンション)を使った判断は、この研究の対象外です。関連する検証はボラティリティ圧縮の研究で扱っています(下の「次に読む」からどうぞ)。
  • トレンド方向や他の条件と組み合わせた使い方は、事前登録の範囲外です。
  • 5分足以外を主要検証にはしていません。

次に読む

検証条件

対象XAUUSD(GOLD)/ Exness 単一フィード
期間2018年8月〜2025年7月(約7年)
データ1分足 282万本 → 5分足グリッドで検証
時刻表記日本時間(JST = UTC+9)
イベント20期間・2σのバンドに初めて触れた時点(cooldown 12本)
サンプル19,934件(エピソード単位/元バー数79,306本)

🔒 Final Holdout(直近1年)は本研究では未使用です

本研究は過去データに基づく統計分析であり、将来の価格変動や利益を保証するものではありません。本研究はバックテスト・デモ運用・実運用のいずれの成績でもなく、エントリー・エグジット・取引コストのモデルを実行していません。

この研究が気になった方へ

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