GOLD DATA RESEARCH / R02・R03
GOLDが最も動く時間帯は
「測り方」で変わる
「どの時間帯が最も動くか」は、何を”動く”と定義するかでランキングが変わりました。
📊 STRONG STRUCTURAL FINDING
30秒で分かる結論
- 今回調べたこと
- GOLDの値動きが時間帯によってどれだけ違うか、そして「最も動く時間帯」はどこかを調べました。
- 結果
- 時間帯による差ははっきり存在しました。日本時間22時が最も活発で、最も静かな6時台の約4.57倍。ただし測り方を変えると順位が入れ替わりました。
- つまり
- 「いつ動きやすいか」には明確な構造があります。ただし「最も動く時間帯」は、何を動くと定義するかで変わります。
- 注意
- これは市場構造であって売買の優位性ではありません。いつ動くかは分かっても、どちらに動くかは何も言っていません。
この記事に出てくる用語(タップで開く)
- ATR(平均的な値幅)
- その時点で「ふつうどれくらい動くか」を表す目安です。相場が荒い時期と静かな時期を同じ物差しで比べるために使います。「0.5ATR動いた」は「ふだんの半分くらい動いた」という意味です。
- ボラティリティ
- 値動きの大きさ・激しさのことです。「ボラが高い」は大きく動いている状態、「低い」は静かな状態を指します。方向(上がる・下がる)とは関係ありません。
- 正規化
- 単位や水準の違いをそろえて比べられるようにする処理です。ただし何で割るかによって答える質問が変わります。価格で割れば「何%動いたか」、ATRで割れば「ふだんと比べて動いたか」になります。
- 中央値
- データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値です。平均値と違い、極端に大きい数値に引っぱられにくいのが利点です。値動きのように「たまに極端な値が出る」データでは、平均より実態に近くなります。
- 統計的に有意
- 「偶然では説明しにくい差が見つかった」という意味です。「儲かる」「実用的な差がある」という意味ではありません。本研究では有意性・方向性・売買可能性を必ず分けて表示しています。
なぜこのテーマを調べたのか
「ロンドン時間は動く」「東京時間は静か」といった説明は、よく見かけます。
ただし具体的に何倍違うのか、その差は年によって変わらないのか、という点まで示されることは多くありません。
さらに今回はもう一歩踏み込んで、「動く」の測り方によって答えが変わるのではないかという仮説を、検証前に立てて確かめました。
どう調べたのか
測り方は2通り用意しました。
- %変動:値幅を価格に対する割合で測る。価格水準の影響を受けない素直な指標。
- ATR正規化:値幅をその時点の平均的な値幅(ATR)で割る。検証前に主要指標として固定していたもの。
結果:GOLDの24時間マップ(日本時間)
- 日本時間の21〜23時台が最も活発であること
- 朝の6時台が最も静かで、22時台とは約4.57倍の差があること
- 日中(12〜13時台)も比較的静かな時間帯であること
色が濃いほど、その時間帯の30分あたりの値動きが大きいことを表します。数字は中央値(%)です。
%変動で見た順位
最も活発な22時(日本時間)は、最も静かな6時台の約4.57倍動いていました。日本の夜、欧米市場が重なる時間帯に集中するという、直感どおりの結果です。
※ 本記事の時刻はすべて日本時間(JST)です。元データはUTC集計で、JST = UTC+9 で換算しています(日本に夏時間はないため年間一定)。
🔍 タップすると拡大표示できますところが、測り方を変えると順位が入れ替わる
%変動
そのまま何%動いたか。
価格に対する割合なので、価格水準が変わっても同じ基準で比べられます。
ATR正規化
その時間帯として普段よりどれだけ大きく動いたか。
直前の静けさが基準になります。
- 同じ値動きでも、2つの指標は違う質問に答えていること
同じ0.10%の動きでも、普段静かな時間なら「相対的に大きい」、普段活発な時間なら「普通」と評価されます。
%変動 TOP5
実際にどれだけ動いたか
- 22時
- 23時
- 21時
- 0時
- 16時
ATR正規化 TOP5
普段と比べてどれだけ動いたか
- 14時
- 21時
- 9時
- 22時
- 15時
赤字は両方に入っている時間帯です。21時・22時は共通ですが、それ以外は入れ替わります。
- 両方の指標で上位に入るのは21時と22時だけであること
- 14時・9時はATR正規化でのみ上位に来ること
どちらかが間違いということではありません。答えている質問が違うため、順位が変わります。
24時間すべての順位変動を見る(分析グラフ)

なぜ入れ替わるのか
ATR正規化は、その時点のボラティリティで割り算をしています。
つまり分母が小さい時間帯ほど、同じ値幅でも比が大きく出ます。日本時間14時や9時が上位に来るのは、その時間帯がよく動くからではなく、直前が静かだったところから動いたからです。
ATR正規化が測っていたのは「どの時間帯が動くか」ではなく、「直前の静けさに比べて、どの時間帯が動くか」でした。
同じデータでも、割り算の分母を変えると別の質問に答えていることになります。

この結果を、ふつうの言葉にすると
GOLDは日本時間の夜(21〜23時台)に最もよく動きます。朝方(6時台)の約4.6倍です。
ただし「最も動く時間帯はどこか」という問いには、測り方を決めないと答えられません。どちらの指標も間違いではなく、答えている質問が違います。
この研究から分かること
- GOLDの時間帯構造は明確に存在し、最大と最小で4.57倍の差があります。
- ランキングは測定指標に依存します。これは検証前に立てた仮説であり、実データが支持しました。
- 「いつポジションを持つか」の時間配分や、値幅を前提とする設定(損切り幅など)を考える材料にはなります。
この研究だけでは分からないこと
- 取引コストは含んでいません。動く時間帯はスプレッドが広がる時間帯とも限らないため、実際の有利さは別途評価が必要です。
- 単一ブローカーの配信データです。時間帯の特性はブローカーによって異なる可能性があります。
- 指標発表など個別イベントの影響は分離していません。
なおデータ監査の段階で、2018〜2022年のデータに週次集計バーが1分足として158本混入していることを発見し、除外しています。放置していれば毎週日本時間9時に架空の高ボラティリティが注入され、この研究の結論そのものが壊れていました。
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検証条件
🔒 Final Holdout(直近1年)は本研究では未使用です
この研究が気になった方へ
次に調べてほしいGOLDの定説はありますか。Discordでアイデアを募集しています。