GOLD DATA RESEARCH / R05
東京レンジのブレイクは、
そのまま伸びる?
アジア時間のレンジを欧米時間が壊しにいく、という説明を実データで確かめました。
❌ NO EDGE
30秒で分かる結論
- 今回調べたこと
- 東京時間(日本時間9〜15時)に作られた高値・安値を、その後のロンドン/NY時間に抜けたあと、そのまま伸びるのかを調べました。
- 結果
- 対照群と比べて差は確認できませんでした。イベント時50.7%、対照群49.8%で、差は+0.5ポイントです。
- つまり
- 「東京レンジを抜けたから伸びる」とは、今回の条件では言えませんでした。
- 注意
- 東京レンジが抜かれやすいかどうかではなく、抜けた後に伸びるかを調べた研究です。
この記事に出てくる用語(タップで開く)
- ATR(平均的な値幅)
- その時点で「ふつうどれくらい動くか」を表す目安です。相場が荒い時期と静かな時期を同じ物差しで比べるために使います。「0.5ATR動いた」は「ふだんの半分くらい動いた」という意味です。
- 対照群(Matched Control)
- 比較のために用意する「何も起きていない普通のバー」の集まりです。「イベント後に55%上がった」だけでは意味がなく、同じ時間帯・同じ曜日・同じ相場環境の普通のバーでは何%だったかと比べて初めて差が分かります。
正確な比較条件は研究ごとに異なります。各記事の「どう調べたのか」をご確認ください。 - 95%信頼区間
- 測った差が、どれくらいの幅でブレうるかを表したものです。この幅が0をまたいでいたら「差があるとは言えない」と読みます。例:[-1.9pt, +2.7pt] はマイナスにもプラスにもなりうるので、差は確認できません。
- 多重検定の補正
- たくさんの項目を同時に調べると、偶然「差があるように見えるもの」が必ず紛れ込みます。10テーマ調べれば、本当は全部無関係でも1つくらいは当たって見えます。その分を差し引く計算がこれです(本研究ではBenjamini-Hochberg法)。
- ボラティリティ
- 値動きの大きさ・激しさのことです。「ボラが高い」は大きく動いている状態、「低い」は静かな状態を指します。方向(上がる・下がる)とは関係ありません。
1日の流れと、今回見たタイミング(日本時間)
9時〜15時東京時間。この間の高値と安値が「東京レンジ」になります。
↓
16時〜ロンドン時間が始まり、値動きが大きくなっていきます。
↓
21時〜翌2時ロンドンとニューヨークが重なる、最も活発な時間帯。
↓
この間に東京レンジの上端・下端を初めて抜けた時点を記録しました。
この図で分かること
- 東京レンジは、東京時間が終わって初めて確定すること
- ブレイクを探したのは、その後のロンドン/NY時間であること
見方のポイント
東京レンジは確定してからしか使えません。形成途中の高値を使うと、未来を先に見たことになってしまいます。
東京レンジは確定してからしか使えません。形成途中の高値を使うと、未来を先に見たことになってしまいます。
なぜこのテーマを調べたのか
GOLDは日本時間の日中は比較的静かで、夜のロンドン・ニューヨーク時間に大きく動く傾向があります(これは別の研究で確認しました)。
そこから「日中に作られたレンジは、夜に壊される」という説明がよくなされます。
実際に抜けること自体は珍しくありません。問題は抜けた後に伸びるのかです。抜けてすぐ戻るなら、その情報は使いにくいことになります。
どう調べたのか
対象GOLD(XAUUSD)
時間足5分足
条件当日の東京時間高値・安値を、ロンドン/NY時間に初めて抜けた時点
比較似た時間帯・曜日・ボラティリティの対照群
確認抜けた方向に0.5ATR進むのが先か、逆に戻るのが先か
ここに大きな落とし穴があります。「東京時間の高値」は東京時間が終わるまで確定しません。もしこれを「その日の高値」として東京時間中のバーにも渡してしまうと、まだ確定していない高値を使って予測する形になり、非常にきれいで完全に間違った結果が出ます。
今回は各水準に「確定時刻」を持たせ、確定前のバーには構造的に渡らないようにしています。
今回は各水準に「確定時刻」を持たせ、確定前のバーには構造的に渡らないようにしています。
結果
50.7%ブレイク後の継続率
49.8%対照群
+0.5pt差(悲観的評価)
1,917件サンプル数
ブレイクした場合と、しなかった場合
縦線は50%(差がないときの目安)です。ブレイクの有無で、その後の伸びやすさはほとんど変わりませんでした。
この図で分かること
- ブレイク後の継続率は50.7%で、対照群49.8%とほぼ同じであること
- 「抜けた」という事実が、その後の方向をほとんど教えていないこと
見方のポイント
抜けること自体はよく起きます。ただし抜けた後どちらへ進むかは、抜けたかどうかを見なくても同じでした。
抜けること自体はよく起きます。ただし抜けた後どちらへ進むかは、抜けたかどうかを見なくても同じでした。
95%信頼区間は [-2.2pt, +3.3pt] で0をまたぎ、多重検定補正後のp値は0.76でした。
東京レンジの広さで3分割して見ても、符号が安定しませんでした。「レンジが狭い日だけは効く」といった形にもなっていません。
東京レンジは、その後どう処理されるのか
よくある展開夜のロンドン/NY時間に、東京レンジの上端か下端が抜かれます。
↓
抜けた直後そのまま伸びることもあれば、すぐ戻ることもあります。
↓
今回の測定この2つの比率が、対照群と違うのかを調べました。
↓
結果比率はほとんど同じでした。
この図で分かること
- 東京レンジが抜かれること自体は珍しくないこと
- 抜けた後の方向は、抜けたかどうかで変わらなかったこと
見方のポイント
「抜けた」という事実は起きます。ただしその先を予測する材料にはなりませんでした。
「抜けた」という事実は起きます。ただしその先を予測する材料にはなりませんでした。
この結果を、ふつうの言葉にすると
東京時間の高値・安値を抜けたあと、伸びやすくなるという傾向は確認できませんでした。
抜けること自体は起きますが、その後の方向は「抜けたかどうかを見ていない場合」とほぼ同じでした。
この研究から分かること
- 「東京レンジ抜け」を単独の根拠にする使い方は、今回のデータでは裏付けられませんでした。
- 時間帯によって値幅が変わることと、方向が予測できることは別問題だと分かります。夜によく動くのは事実ですが、それは「どちらに動くか」を教えてくれません。
この研究だけでは分からないこと
- 東京レンジの高値・安値が「抜かれる確率そのもの」は、本研究の主要検証ではありません。
- 1日1回程度のイベントのため7年で1,917件です。条件を細分化すると判断が難しくなります。
- 1年ずつ抜いて再計算すると符号が変わり、事前に決めた範囲でも安定しませんでした。もともと弱い、あるいは無い効果を見ている可能性が高いと考えています。
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検証条件
対象XAUUSD(GOLD)/ Exness 単一フィード
期間2018年8月〜2025年7月(約7年)
データ1分足 282万本 → 5分足グリッドで検証
時刻表記日本時間(JST = UTC+9)
イベント当日の東京時間高値・安値を、ロンドン/NY時間に初めて抜けた時点
サンプル1,917件(エピソード単位)
🔒 Final Holdout(直近1年)は本研究では未使用です
本研究は過去データに基づく統計分析であり、将来の価格変動や利益を保証するものではありません。本研究はバックテスト・デモ運用・実運用のいずれの成績でもなく、エントリー・エグジット・取引コストのモデルを実行していません。
この研究が気になった方へ
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